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戦火の大陸には、製作段階で姿を消した「編隊」というシステムがあった

 戦火の大陸には隊列画面で右クリックをすると機体を分身させて全ポジションへ配置できるというバグがありました。これを使うとフォワード・コア・バックスと最大3体まで機体を増やして敵と戦うことができます。現在のバージョンでは修正されたバグ。この症状が最初に報告された時、製作段階でやむを得ず切り捨てたあるシステムのことが頭をよぎりました。

 このゲームがスーパーロボット大戦の影響を受けていることは今更言うまでもありません。隣接ユニットをサポートする連携、能力値が変化する隊列はそれぞれ援護や変形が基になっています。他にもう一つ、スパロボの小隊システムを基にした編隊というコマンドも入れる予定でした。
この編隊とはポジションを変える隊列の発展型のようなものです。編隊を行うと隣接するユニットの空いているポジションにユニットを配置することができます。複数のユニット(機体)を足して強力な一体のユニット(部隊)を作るイメージなので合体にも近いかもしれません。これにより攻撃力の高いユニットをフォワードに置いて攻撃役にし、守備力の高いユニットをバックスに置いて防御担当にするといったユニットの部隊的な運用ができるようになります。構想ではサブフォワード・サブバックスというポジションもあり、攻撃役二機や防御役二機としてそれぞれに特化した隊も作れる予定でした。全ポジションにユニットを配置して最強部隊を作ることも可能です。
ファイル 13-1.gif
こんな感じに

 そうこうしながら編隊システムを作っていったのですが、やはりそう簡単には行きませんでした。複数のユニットをまとめて一つのユニットにすると、個別ユニットの管理が通常よりも複雑になってしまうのです。アイテム使用の効果が及ぶ範囲、経験値の取得、ユニットの行動値が0となった場合の処理、といった個別に対応しなければならないことが多く出てきました。これらの処理をどうするかがまとまらなかったために、結局編隊システムの実装は中止となってしまいます。

普通ならこのまま終わり、編隊は日の目を見ずに消えてくはずでした。そんな中で届いたのがあのバグ報告です。

 実装しなかったとはいえゲームシステム自体は編隊に対応したものとしてそのまま作っていました。空いているポジションにユニットを配置することはできるわけです。その編隊用のシステムが隊列画面でのキャンセル処理のバグと組み合わさることにより、全てのポジションに同一ユニットを配置できるという大きなバグへと進化を遂げたようです。

 一度ボツにされてもあきらめず、バグの協力を得て奇跡の復活を果たした「編隊」。挫折してもくじけずチャレンジし続けることの大切さを学んだような気がしました。